母は、毎年春が近づく頃、わたしたち幼い姉弟のために、台所に立って、いちごをひとつひとつ丁寧に、スプーンで、へたをとり、いたんだところを取ってガラスの器に入れて出してくれました。3月と5月にそれぞれ誕生日がくる弟たちには、誕生日にケーキを焼いて、夢のように美味しい生クリームとそのいちごで飾ってくれるのですが、いちごのない11月に生まれた私はたいていいちごの代わりに桃の缶詰で、それがなんだか残念だったのでした。あの、一心にいちごのへたとりをしていた母、幼い私たちがお腹をこわさぬようにと、一瞬一瞬愛情をもって毎度の食事を用意してくれていたのだな、私も母になってそういう気持ちがすこし分かる気がします。
・・・週末買出しにでかけたスーパーでオーガニックのいちごが出始めたのを買ってきて明日の朝いただこうと、冷蔵庫にひとつのこっていたネーブルオレンジといっしょにカットしていたとき、いつもこうしていると目に浮かぶ風景のことを書いておきたいとおもいました。
0 件のコメント:
コメントを投稿