2017年3月29日水曜日

奇跡のレッスン

「奇跡のレッスン」というNHKのドキュメンタリーがあります。1週間、スポーツや料理など、各分野で世界一流の指導者を招いて日本の子供たちに特別指導をする様子を密着するもの。私が観ているTVジャパンでは日本より遅れて放送するのですが、まあこれがかなり面白い。昨夜はハンドボールの後編。オリンピックで金メダルをとったデンマークチームの47歳総監督が日野市の中学校に出向くというもの。彼は日本に来るのも初めて。声をからして叱りつけ、スパルタ式に1から10まで指示を出す日本人の担当の先生とはまったくちがった方法で、生徒の主体性を重視しながら楽しみつつ自分で考えるハンドボールを教えます。

何より私の心に残ったのは、彼の「すべての人にチャンスを与える」という姿勢。彼は、日本人の先生がまだ1年生だから、小柄だから、下手だから、という頭ごなしの理由で試合に出さなかった生徒たちを輝かせます。練習や試合も黙って見守り、"Perfect!!" "Good pass!! " 、と絶賛。日本人の先生とはびっくりするくらい正反対なのです。そして「だからお前はだめなんだ」ということを一切言わない。いままで影に隠れていた選手をエースポジションに抜擢し、重圧と、疑問に悩んだ本人が「何故僕をこのポジションに選んだのですか」と直接聞くにいたったときの先生の即答の内容は、「君は才能があるからです。君のパスや、動きはとてもうまいし、確実で信頼できる」と褒めちぎる。それを聞いた瞬間の13歳の少年のぱっと輝いた顔が本当に泣けました。「ソ-レン先生は僕はこのポジションがちゃんと出来ているといってくれたし・・・」と声を弾ませる彼は、きっとこの日を生忘れないだろうと思いました。気になったのは、前夜、悩む息子にお父さんが、「先生の意図を汲み取らないとだめだろう!」と言ったひとこと。いやいや、お父さん、汲み取れないから息子さん悩んでるんでしょ、と突っ込みたくなりました。この否定的な態度は日本の親たちにはよくみられるかと思いますが、本当によくないです。

日本のやり方が悪いとはいいたくないのですが、ことスポーツに関しては、私は日本の外で育っていたら、今はかなりちがった意識をもっているだろうと思わざるを得ません。叱られたりけなされるのが怖いあまりに動けなくなる子どもたちの気持ちが、私にはとてもよく分かるので、それを「へなちょこだ」と切り捨てるやり方にはどうも賛成できないのです。

この番組を頭に浮かべながらジョニーのカンフーのレッスンも一生懸命見ています。幸い、ジョニーの先生は若いながらも教える才能がとてもある人なので、とても参考になります。やはり、ほめること、進歩を認めながら、次への挑戦を与えていくこと、できることを伸ばしていくことはとても大事です。私は苦手なことも「苦手だ」と強く意識したうえで克服してなんでもうまくやろうとがんばってきたタイプなので、いまだにこういう番組は参考になりますし、何よりジョニーのために伸び伸びと好きなことを伸ばしていける環境を作りたいものだと改めて思わされるいい番組です。

余談ですが、最近、年上の子供たちとカンフーレッスンを受けることが多くなってきたジョニー、しり込みしたり泣いたりすることがなくなりました。そしてマウスガードやらをつけてボクシングのようなファイト(Sparringといいます)に参加させてもらうようになったのですが、これが楽しいらしい。目の色ががらっとかわり、小さなジョニーに油断している大きな相手にも立ち向かい、ルールをもとに隙をねらってキックやパンチをお見舞いし、おわったあとには"I beat you!!" と叫ぶハイテンション。先生びっくりするやら喜ぶやら。私の狙いは、優しい性格できょうだいもいないジョニーには格闘技などで「上手に喧嘩をする方法」を身につけてほしい、ということなのですが、今のところ当たっています。

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